歌舞伎座の絵看板

osamuharada2010-04-27

5月号の芸新コラムでは、歌舞伎座と一緒に、取り壊されることになった絵看板について書いてあります。あの劇場の前面にたってる一対の看板のことね。あまり注目されることがなかった絵看板ですが、江戸時代から300年間も、ずーっと代々鳥居派の画家によって描かれてきたのですよ! 驚異的でしょ。描き方の基本も300年前と同じ、伝統的な描法が守られてきた。しかも毎回、新たに描かれてきたのです。同じ芝居の演目でも、常に絵看板のほうは描き下ろしで、二度使いはしなかった。それがいよいよ幕を閉じることになるかもしれない。絵と芝居の両方がお好きな方、詳しくは雑誌の方でお読みくださいね。
個人的にも思い出がいっぱいつまった歌舞伎座が、とうとう無くなるとは残念だな。それにいつも前を通ると絵看板を眺めては、ああ今月はこんな演目なんだと知ることも、もうできないんだ。むかし観た数々の名舞台を、忍ぶよすがの建物や看板が消えてゆくのは寂しいもんですよ。これでまた銀座の銀座らしさが失われてしまう。これから高層ビルの一部として再建される歌舞伎座に、絵看板を配置する場所が新たにできるかどうかは、意外にもまだ未定らしいのだね。 しかも、現在の九代目になられた鳥居清光さんには、後継者がいないようなのです。 松竹は、世襲制の(芸はなくとも名ばかりの)役者たちを後生大事に扱ってきたけれど、それ以外の、歌舞伎になくてはならない、音楽や美術の伝統のほうは、一体どうなっちゃうんだろうね?
歌舞伎座終幕→(id:osamuharada:20090304)