エキゾチカ

現代ハワイからは、ほとんど姿を消した昔のエキゾチシズム。半世紀前のハリウッド映画などで美術的イメージが造られた。ファー・イーストとポリネシアがごちゃまぜになっていて、しかも可愛い。ヤツガレにとってはミュージカル映画「南太平洋」の世界。もはやそんな雰囲気が残る場所は無いだろうと思っていたら、ありましたよ。Ａさんも、よもや残ってはいるまいと半信半疑ながら連れて行ってくれた La Mariana Restaurant & Bar。１９５７年に開店して以来そのままの建物とインテリア。バンブーの椅子、木彫りの彫刻がある柱、緑色の陶器の間仕切り、熱帯植物、貝殻でつくった照明器具。店内には中庭もあり広々としている。テラスの外はヨットが係留してあるマリーナに面しています。どこをとってもレトロになっちゃったエキゾチカ。ただし店の外に出ると、周囲は殺風景きわまりなく、ヨットの修理工場やトタン張りの倉庫、金網のフェンス、といった観光地からは外れすぎた地区。穴場という感じかな。地元の白人の、それも年寄り客が多い。昼飯時だったので、ここのラ・マリアナ・クラブハウス・サンドウィッチを食べてみた。カリッと焼いたパンに、ターキーとベーコン、レタスにトマト、と何のことはないけれど実に旨い。この店がすっかり気にいったので、次は夜のＢＡＲに来たいなと思いながらも、何かが足りない気がするのは何故だろうかと考えた。せっかくのこの雰囲気に似合う音楽がかかっていないことだ。ここには、ハワイアンやオータさんのウクレレでは軽々しくて、似つかわしくないだろう。もっともっと古めかしく、可愛くて、しかもエグイものが必要なのですよ。　
というわけで、やっぱりマーティン・デニーのエキゾチック・サウンドしかないでしょ、と一人決定いたしました。グッドアイデア！だと思ったけれど、ＡさんもＴ君も知らないという。ハワイで５年前に９４歳で亡くなっている。そういえば、こっちのレコード店や本屋、骨董屋でも見かけなかったよなァ。MARTIN DENNY のなかでも QUIET VILLEGE (１９５９年）が無性に聴きたくなってきた。今度来るときには、必ずipod に入れて持ってくるぞ！

Quiet Village