ノートブックについて

osamuharada2010-02-24

前に、筆記用具について書いたので、今度はノートブックについての、どふでもよゐ話。 十代の頃、1960年代はじめは、ノートといえばありふれたクソ真面目な大学ノートしかない、シャレた物のまったく無い退屈な時代だったので、ノートブックをやたらと自分でカスタマイズすることに凝りだした。 表紙に古本の外国雑誌から切り取った写真やイラストをコラージュしたり、ロゴタイプを切り抜いて張ったりと、外国カブレも手伝って、なんとも不思議なデザインのノートブックに改造しては悦に入っていたのです。各教科ごとのノートをすべてイロイロに改造してしまうと、ノートを使いきるまでは待てずに、すぐにリデザインをしてしまう。ついには表紙をとっぱらって、色紙や革張りの装丁に造り直したりして、異様なノートブックを持ち歩く怪しい高校生となっていったのです。自分では(誰にもほめられたことはないが)カッコイイだろ!とウヌボレていたフシがある。
美大のデザイン科へあがると、ノートの表紙は、自分で手書きの英文字レタリングにかわり、ちょっと見にはどこか外国製のノートブックに間違えられるほどに腕が上達していった。そのノートのページにも、ノートブックの新しいデザイン計画案などを描いていたので、ノートのためのノートという、ワケのわからない事態になってしまったのでした。
そーゆー趣味?を持つ若い男が、卒業してすぐニューヨークへ行ったときに、思わず大興奮しちゃったのが、他でもない、街の普通の文房具屋やスーパーマーケットの、向こうでは普通のノートブックやメモパッドにめぐり会えたコト、というのもムベなるかなでしょ。日用品としての文房具のデザインに感銘してしまったワケ。それら気に入ったノートブックに、遊びでイラストやカットを描き溜めておいたものが、やがてイラスト稼業につく時のポートフォリオになったのですから、どこで何が役に立つかわからない。その後アメリカからヨーロッパに渡っても、各地でノートとメモを求めて買ひありく。パリのカルチェラタンにある、老舗の文房具屋兼本屋さんの、ジョセフ・ジベールで買って、今でもぼくの中では最高点のノートが上の写真です。色は他にオレンジ、ピンク、緑色、紫色があった。店のたたずまいが裏表紙のイラストになっています。カレコレ40年も前の、お古〜いノートブック。