雪岱と年末進行

osamuharada2009-12-27

ひさしぶりに、出版界恒例の「年末進行」を体験しています。印刷屋さんが冬休みに入るので、いつもより早めに雑誌の入稿をしなければならないのです。プロの雑誌編集者には年末年始の休みは無い。若い頃にはイラスト稼業のほうの、年末進行体験をしたことが多々あったので、なんだか懐かしい。芸術新潮二月号「小村雪岱特集」のページ(76頁)を、ぼくもちょっとだけ手伝っているところです。もっとも、大変なのは特集の責任者であるMさん一人で、こちらは例によって、山ほど用意された資料を眺めているうち、小村雪岱について改めてハマってしまいました。日本美術界の体制には与しなかった、素晴らしい芸術家の一人です。
雪岱の関係した、舞台装置の仕事と、映画の美術考証について調べているうち、そのDVDやビデオを観る必要があったので、つい原稿書くことを忘れて、じっくりと映画や舞台映像を観ちゃうワケ。なかでも「雪岱ゑがく」美人そのままの板東玉三郎の、歌舞伎舞踊が最高なのです。DVDでは長唄の「藤娘」「娘道成寺」など。舞台装置も衣装も、戦前に六代目尾上菊五郎のために小村雪岱がデザインしたものを、ちゃんとそのままに踏襲しています。玉ちゃんの舞台姿は、まさに雪岱の絵から抜け出したかのよう。役者が良くなければ、舞台装置の威力は発揮しないものなのですよ。 やっぱり編集の素人には、資料の下調べのほうが、ヘタクソな原稿書くよりゼンゼン楽しいな。(この図版は、泉鏡花著「日本橋」から、雪岱装丁の見返し部分です)  このブログ内の雪岱→コチラ