散歩できない根津美術館

osamuharada2009-10-13

三年半もかかって、やっとリニューアルしたばかりの根津美術館。昨日、散歩がてらに行ってみたら、連休で異常な賑わい。美術館の建物は、武家屋敷の長屋門のような、暗い外観に変身していた。入り口のほうから眺めると、その長屋門に連なって総ガラス張りの、ロビーやらミヤゲモノ屋(ミュージアムショップのつもりらしい)の建物が派手にくっついている。ガラス張り玄関横を見ると、H鋼の構造柱がむきだしで、今どきバウハウスもどき、はないだろうと失笑させられた。パンフを読むと、建築は「和」と現代性の調和なのだそうだ。クマとかいう人の設計で、どっかで聞いたことがあるなと思ったが、ああこの人が、来年から歌舞伎座をビルに建て替える設計屋さんなのだと思い出して、余計にガッカリした。
根津美術館の、肝心な展示スペースは、以前と同じくらいか、むしろ狭くなったような感じがする。そのかわり庭に面したロビーは広くて、全面ガラス張り。そこから見える、昔のままの庭の緑だけは美しい。ロビーそのものは、巨大な温泉ホテルのロビーのようなたたずまい。平均年齢50歳くらいか、青山なのでちょっとオシャレをしてきちゃいました風の観光客で、ゴッタ返していた。
財団法人の根津美術館は、尾形光琳のあのカキツバタ図屏風や、中国宋元画の李安忠の鶉図、鎌倉時代那智瀧図など、国宝7点、重文が8点、重要美術品は96点も持っている。新装開店の時ぐらいは、すべて一堂に会するかと思いきや、ケチって国宝は1点のみ。これで入館料1200円は高いよね。現行法では、財団法人とは、公益を目的とする公益法人のみが認められることになっているはずだが、相続税逃れのために財団法人化する、というのがほんとの目的なのでしょう。
以前はフリーで入れた、美しい庭園(上の写真)の二ヵ所の入り口は無くなっていた。美術館へ入ってロビーを抜けてでないと、庭へは出られない。もうタダじゃ通さないぞ!なのだ。 ぼくには十代からの、ブラリ散歩コース(詳細はid:osamuharada:20080504)だったけれど、これには、一番ガッカリさせられました。セチ辛い世の中になったもんだ。