蟲のこゑ

osamuharada2009-09-11

夕焼け空にトンボが舞い、夏のセミはもう鳴かなくなり、やっと静かな秋が来たなと思いきや、日が沈むと今度はムシの声の出番で賑やかです。(写真は今日の島の夕焼け) 東京の町中でもリーリーリーリーと盛んに鳴いていたけれど、島のほうは虫の大合唱祭りという感じで、いささかウルサイくらい。昔はもっと静かにユックリ鳴いてたような気がしてたのだが、こないだ生物学者のような友人の勘兵衛センセイと話していたら、ナルホドね、うるさく聞こえる理由がやっと判然としたのです。
リーリーと鳴くから、鈴虫だとばかり思っていたのが大間違い。あれは近年、東南アジア方面からやってきたアオマツムシという種類なんだそうです。族名はマツムシモドキというらしい。日本では何故か鎌倉からスタートして本州、四国、九州にまで大繁殖した外来種の虫なのだそうです。 たしかに鈴虫なら、もっと間を置いて、静かにリーン リーンと鳴くはずだ。こっちはリーリーリーリーと、せっかちで何だか忙しいよね。 よく鈴虫と間違えられるそうだが、それならアオマツムシ(青松虫)という名前はヘンじゃないのか? と聞けば、江戸時代までは鈴の音に似てチンチロリーンと鳴くのが鈴蟲で、リーン リーンは松を渡る風の音に似ているから松蟲だったそうだ。「松風(しょうふう)」ですね。 それが歴史の途中で入れ替わっちゃったらしい。子供の頃に歌ってた童謡「あれ松虫が鳴いている チンチロヽチンチロリン」がすでに間違い。「あれ鈴虫も鳴きだして リンリンヽリーンリン」と、松蟲鈴蟲の両者が入れ替わっちゃったんですね。明治の頃から逆になったらしい。 月日は百代の過客とや、しかし虫にとってみれば、名前なぞどふでもよい、大きなお世話なのでしたね。利己的遺伝子(ドーキンス論)が生存競争やってるだけだもんね。
     苦 の 娑 婆 の 蟲 な き み ち て ゐ た り け り   万太郎
生物ならオマカセの勘兵衛先生→http://d.hatena.ne.jp/osamuharada/searchdiary?word=%c0%d6%b4%aa%ca%bc%b1%d2