気韻生動

osamuharada2009-04-23

川端実作品には、大きい物(天地2mあまり)から小品まで、すべての作品に渡って、「気韻」(きいん)というものが溢れ出ていると思います。 「気韻生動」とは古い中国文人画の品評基準のひとつで、絵画に精神的生命力が躍如としているさまをあらわしています。芸術の真髄といってもよいでしょう。まさにこの「気韻」が画面上に生じるかどうかで、絵画の良し悪しは決定づけられるのです。 これは絵画の実物を前にした時にしか体得できないものです。そして言語での説明は不可能なものなのです。  二十世紀半ばに生まれたモダンアートのなかでも、抽象表現主義の妙諦は、東洋主義的な気韻生動論にあると、はからずも川端実が証明しているかのようです。今回展示中の、八十六歳の時のモノクロームに近い大作品をご覧ください、俵屋宗達長谷川等伯を思わずにはいられないほどですよ。
川端実展』は、4月26日マデです。上の写真は、芸術新潮4月号、ぼくのコラムにも掲載したコラージュ作品です。