ブロッサム・ディアリー

osamuharada2009-03-13

先月ブロッサム・ディアリーが亡くなった。八十二歳でした。まだレコードしかない時代の、若い頃によく聴いていました。甘く可愛らしい声でピアノの弾き語り。1956年のアルバム Blossom Dearie のなかのフランス語で歌うジャズボーカルが特に好きだったのは、恥ずかしながらぼくがフランスカブレをやってたからに他ならない。仏語の歌 「春の如く」やTout Doucement という曲が特に好きでした。シャンソンのように粋なジャズボーカル。日本なら爪弾きの小唄といったところ。良き時代の、我にもロマンティックな想い出わけアリのレコード。 
最近聴いたのは、Jazz in Paris というCDシリーズの中で The Pianist Les Blue Stars Blossom Dearie というアルバム。  1954年アメリカからフランスに渡ったブロッサムの、コーラスグループ、ブルー・スターズ時代の曲で、ミッシェル・ルグラン編曲による仏語の「バードランドの子守唄」が凄くいい。次の1955年は、歌なしピアノ・トリオの演奏が8曲入っていて、これがブロッサム・ディアリーらしいインストルメンタルで、春のように軽やかで、やっぱり可愛らしいピアノです。フレッド・アステアで有名な曲 「コンチネンタル」では、テディ・ウィルソンのように華麗で踊り出したくなるようなピアノ。ガーシュインの曲They can't take that away from me では、ジョージ・シアリングのように弾く。これはカクテルでも飲みたくなるよな一曲。スタンダード曲「ブルームーン」も楽しくなる愛らしいピアノです。ブロッサムのピアノをユックリ聴いていると、なんだか日向ぼっこでもしているような気分になってくる。このあくる年’56年にパリからアメリカに帰って、ジャズの名門ヴァーブから出したアルバムBlossom Dearieが、大ヒットする出世作になったんですね。なのでフランス土産の曲がいくつか入っていたわけだ。 春の季節がよく似合う、ブロッサム・ディアリーの歌とピアノです。