吹きガラスの花瓶

osamuharada2009-03-08

島のアトリエでの話。客室の玄関が狭いので、圧迫を感じないよう、戸を開けてすぐ正面の壁部分を、一部ガラスのはめ込みに、と自分で設計をしました。二階なので、ガラス窓の向こうには小高い林が続いている。漆喰壁で矩形に切り取られた外の樹木は、それだけで一幅の絵になる。さらに外と内が一体化するように、下駄箱の上、窓の手前に透明なガラスの花瓶をいつも置いてあります。散歩がてら取ってきた、季節の枝花を「投入」で活けようというアイデアです。剣山を使うのは嫌いで、自己流投入(ナゲイレ)に限る。
谷道和博さんの吹きガラスに魅せられて、いつしか食器類が多く集まってしまいましたが、大物の花器は作るのが大変そうであまり出品されない。この花瓶は高さ40cmほど、ずしりと重たいから、コレを宙で吹くのは凄く体力のいる仕事だろうなと思う。かなりの高温で溶かすからでしょうか、クリスタルのように気泡が一つも無い。薄い緑の吹きガラスが逆光に置かれると、外の景色を取り込み、花瓶もまた自然の一部と化す。花器の形態もまた谷道スタイルというか、自己主張をしない、自然のムーブメントに即して泰然自若としている。そこが好きなのです。
谷道さんの吹きガラス(id:osamuharada:20060627),(id:osamuharada:20060624),(id:osamuharada:20080804),(id:osamuharada:20071117),(id:osamuharada:20080213).