窮鼠、猫を噛む。

osamuharada2008-12-31

昨夜、帰りがけに六本木の本屋にでも寄ろうかなと思ったが、きっと混んでるだろうからとやめた。夜のニュースを見たら、「派遣切り」のうっぷん晴らしで包丁を振りまわした若者〈28才〉が、六本木で逮捕されたという。警官が発砲するまで、誰でもいいから刺すつもりでいたらしい。 たまたま寄り道しようかと迷った六本木の、それも同じ時刻だったので、あまりにもリアリティのあるニュースだった。物騒な世の中になったもんだな。五月の芸術新潮に書いた故赤塚不二夫の「竜之進がゆく」(id:osamuharada:20080526)の予見が、ますます的中してきましたよ。  今年の秋葉原殺傷事件犯人の若者も「派遣切り」されてキレたのが原因でした。日本経済が破綻して、大人(企業)たちが自分の利益だけを守ろうとした結果、派遣の若者たちを容赦なく切り捨てたことが元凶でしょう。 その前に、大人たちが自分の小さな幸福や自分の物欲だけしか考えない、自分主義ばかりの社会がある。その大人たちがつくる社会で育った若者が、同じく自分主義におちいるのは当然だろう。そのあげく、お金(仕事)の取りあいで大人たちは経済的弱者の若者たちを犠牲にする。「派遣切り」という新造語は、仕事を切られたから刃物で「切り」返す、という痛々しいイメージにまで飛躍してしまいそうですね。 「窮鼠(きゅうそ)、猫を噛む。」追いつめられたネズミが猫に噛みつくこともある。ぼくの好きなトムとジェリー人形では、鼠のジェリーがTNT火薬の袋を持って、猫のトムを見返しています。可愛いけど、よく考えたら恐ろしいよ。
昨日のニュースでは、その六本木事件の後のほうに、イスラエルガザ地区にミサイル空爆をして、バラク防相が宣戦布告をしたと小声で報道していた。中東戦争が再び勃発した世界のビッグニュースも、日本の自分主義大人たち若者たちにはカンケイなしの、年の瀬となりにケリ。