関東の縄文土器

osamuharada2008-12-03

先週、福岡に行って用事が済んだあくる日、地元Tさんの車で大宰府九州国立博物館へ連れていってもらった。特別展は「国宝天神さま」。巨大な国立博物館といっても、天満宮の境内にあるようなものだし、日曜日ともあって善男善女で押すなオスなよの大盛況。最近六本木で観たピカソ展を上回るもの凄い人出。展覧会だか、お参りなんだかわからない。一瞬ひるんだが、「あおもり縄文展」という展示も他にあることがわかり、三内丸山遺跡で発掘されたものなどが来ているという、これは思いがけずラッキー!だった。 案の定、天神さん展に比べて縄文展はガラガラの、ぼくには贅沢にも好きなものがユックリ見られる最高の展覧会だ。 新たに発掘されたものも多く、ただただ溜息がでるばかり。紀元前の、我ら日本民族の祖先たちは、何という純粋で高度の芸術文化を持っていたことか。数千年前に造られたものが少しも古びない。そこには美の原型がしっかり横たわっている。おなじみ信州の火焔土器や東北晩期の亀ヶ岡式土器に混じって、ひときわ赤土色の美しい、モダンといってもよい造りの中期縄文土器が一つあった。それは初めて見たのに、懐かしくも、ぼくには昔からよく知っている親しみやすさ、美しさを深く感じることができた。近寄って解説をよく読むと群馬県で発掘されたという。ぼくの原田家の始祖は、上野国(こうずけのくに)新田(にった)の出なので、つまり群馬なのですよ。やっぱりそうなのか、この不思議な感動は、ぼく自身の遺伝子が騒いだからなのでしょう。 大いなるものの存在を感じさせる素晴らしい展覧会で、立ち去りがたかった。他にも書き留めたいことばかりが次々と出てくるけれど、キリがないので、またいずれね。
この写真の縄文土器のかけらは、多摩丘陵の一部にある聖蹟桜ヶ丘の、友達の家から出たものの一つです。彼女が園芸のために庭を掘っていたら、すぐに見つけちゃったという。かつて縄文的美意識について「ぼくの美術帖」を、ちょうど書いていた頃にいくつかもらったのです。 このかけらはイメージすると、直径が30cmくらいの浅い鉢になるでしょう。まるで果物籠のようなデザインで、何を入れていたのかな? 平べったい縁の円周には、二本の平行線がくっきり彫ってありスッキリした感じがします。他のかけらに比べてやや女性的かな。黄みがかってはいるけれど、これも関東ローム層の赤土でしょう。今でも机のかたわらに置いて、時々手をあててみたり、眺めたりしています。