読書の秋

osamuharada2008-10-15

秋ですね・・。ぼくの「美術の秋」は、抽象画にコラージュ、と自分で描くほう専門です。宣伝過剰な秋の美術展などには出かけたくないし、今さらひとゴミにもまれてピカソ宗達を観たくはないもんね。で、静かに絵を描く秋です。 そしてもう一つの楽しみは「読書の秋」。いつもは美術史関係か陰謀関係の本ばかりだけれど、昼風呂や、秋日和の書斎では、エンターテインメントの本が読みたくなる。もともとが推理小説好きで、なかでも警察小説ファン。こないだDVDで映画『刑事マルティン・ベック』を観てたら、むかし読んだ原作も読み返したくなり、’65年の『ロゼアンナ』から再び読み始めた。 やはり映画よりゼンゼン面白い。このスウェーデンの刑事マルティン・ベックものは、一年に一作ずつ書かれたので十年で十冊。夫婦で原作者マイ・シューヴァルとペール・ヴァールーの、旦那が’75年に亡くなり終わってしまったシリーズでした。 リアルタイムに読んでいたからもう何十年ブリだろうか。いま読んでも古く感じないのは、舞台が北欧のストックホルムだからかな。白夜などの見慣れない自然や気候のせいもある。マルティン・ベックのキャラクターもいい。作者が早世しなければ、パリのメグレ警部やロンドンのギデオン警視、87分署の刑事スティーブ・キャレラに並ぶはずだっただろうな。それよりストーリー展開のうまいミステリーというものは、とにかく読み出したら止まらなくなる。 ついでながら、映画のほうでは、警察署でも一般家庭でも、北欧インテリア・マニアが泣いて喜びそうな家具調度に美術ですよ(多分ね)。TVドラマ版のシリーズも前に日本で放映してたけど、やはり原作にはかなわなかった。しかしスウェーデンの俳優達って、誰もが名匠ベルイマン映画に出ていてもおかしくないような芸達者ぞろいだな。読書の秋が終わったら、またベルイマン監督作品で、マックス・フォン・シドーやリブ・ウルマン(ノルウェーの女優)の演技を観たくなってきそうだ。こっちは冬が似合うだろう。 小説の刑事マルティン・ベックものは、確か文庫もすべて絶版だと思います。なのでDVDだけおすすめします。