冷や飯を食う

osamuharada2008-08-04

真夏のお昼ご飯には、炊いた後で自然に冷ましたご飯がうまい。谷道さんの吹きガラス製ご飯茶碗がピッタリするので、夏にはこれを愛用しています。暑い時に陶器の飯茶碗やドンブリはちょっと願い下げたい。やはり真夏には、磁器の器と、目に涼やかな日本のガラス器がいいな。  冷めたご飯には、冷蔵庫で冷やしておいた漬物がよく合いますが、昔の東京下町では「カクヤの香コ」なるものを食していました。ぼくにはつましいオフクロの味。 と言っても何のことはない、胡瓜、茄子や蕪、沢庵など、何でも有り合わせの漬物を適当に細かく切って、さらに生姜をみじん切りにして混ぜ、ふきんでキュッと絞り水気をとっただけの香の物です。江戸初期に岩下覚弥(カクヤ)という人が創始したといふ。生姜の使い方がミソですな。昭和の名人、桂文楽のオハコ『酢豆腐』という噺のなかにもカクヤの香コが出てきますよ。ま、ご飯のオカズは人の好き好き。アレコレ工夫して、日本の猛暑対策にはCOOL!な冷や飯を食おう。
しかし「冷や飯」という言葉のイメージが悪いせいか、旨いのにもかかわらず、冷や飯はあまり好まれないようだ。「冷や飯食い」とは落語の世界なら居候(いそうろう)のこと。サラリーマン社会で「冷や飯を食う」といえば、左遷されるか、今にもリストラされそうな人で窓際に追いやられること。古くから「冷遇」という、あまり良くないイメージが「冷や飯」にはあるんですな。また「冷や飯草履」と言えば最下級の人のはくワラぞうり。現代ならビーサンことゴムぞうりか。また、どうでもいい話でした。
盛夏の食べ物話。前に冷麦と谷道さんの吹きガラスについて書いていました。[id:osamuharada:20060624]