マイヨール美術館

osamuharada2008-07-28

猛暑中お見舞い申し上げます。今年も異常に暑くなりそうですね。 「芸術新潮」八月号、ぼくの美術コラムは、彫刻家アリスティード・マイヨールと写真家ブラッサイの話題です。夏だからヌードはいいですね、と編集者三好さんからの助言?もあり、現代ではやや忘れられた彫刻家マイヨールを取り上げました。  コラムには、ぼく自身のマイヨール彫刻開眼となったのが、サンジェルマン・デ・プレのマイヨール美術館であると書きました。ここは1995年にできた比較的新しい美術館で、それ以後パリに行く度に必見中の必見!美術館になりました。マレのピカソ美術館のように古い建築をそのまま使用。地下のワインカーブを改造したカフェも、別棟のミュージアムショップも落ち着いていい雰囲気です。パリ旅行で美術好きの方に是非オススメします。ここでマイヨール彫刻の真髄に出会えますよ。この美術館は、マイヨール晩年の十年間、モデルをつとめたディナ・ヴィエルニという女性が一人でつくった美術館です。マイヨール最後のミューズ。美術館はマイヨールへの敬愛に満ち満ちています。上の作品集中の一頁は、八十三歳最晩年のマイヨールとディナ。バスク・ベレーを被って、白髯をたくわえたマイヨールはまるで仙人のようですね。
マイヨールについて日本語で書かれた本で、ぼくの愛読書となったのは、氷見野良三著『マイヨール』の一冊。様々な文献やエッセイからの引用翻訳を中心とした伝記ですが、著者のマイヨールへの愛情が強く感ぜられる書籍です。著者の氷見野氏は1960年生まれ、本業は大蔵省からジュネーブで書記官を務められ、この本が出版された2001年は、金融庁国際課企画官だったそうで、美術とはまったく関係ない職業の方です。それにしても素晴らしいマイヨールの名著。読んでマイヨールがますます好きになりました。

マイヨール

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