鈴木信太郎デザイン

osamuharada2008-05-31

最近はこのブログへ、「鈴木信太郎」のキーワード検索で見にこられる方が、毎日二、三人はいらっしゃるので、信太郎先生応援団としては張り切ってまた書いちゃおう! 油絵が本業の鈴木信太郎画伯ですが、挿絵でも大衆的人気があって、お菓子屋さん、レストラン、お弁当屋さんなどのパッケージも手がけました。そういえば現在スイーツが大流行だから、それで若い女性にもその名が知られるようになったのかな? 挿絵はもうお馴染みでしょうから、装丁では珍しく、絵ではなくデザインだけしたもの(写真)をひとつお目にかけましょう。 これは戦前の昭和10年、丹羽文雄著「自分の鶏」(双雅房刊)の鈴木信太郎装丁本です。夏の絣、「上布」の柄をアレンジしたデザインですね。手描きの赤いカスリ模様の一つずつが愛らしい。微妙な余白の取り方に、信太郎の美的センスが横溢している。模様は表紙から裏表紙にかけて全面に、ユッタリと、しかし丁寧に描いてあります。本を開くと、見返しは浅葱色(水色)一色。これで、着物を本に、あたかも着付けするが如き気持で、デザインしていたというのがよく解かる。題字も信太郎筆。73年も昔にデザインされたものなのに、ゼンゼン古くないですね。かえって新しいかも。
人気上昇は嬉しいけれど、最近ホッコリ系雑誌などでは信太郎のパクリを平然とやっているイラストレーターが出現。信太郎好きで元オリーブ少女の友達から御注進あって、今度はこの装丁の赤いカスリ模様まで真似をして、しかも商品として売っているという。ではその厚顔無恥ブリを拝見しようと本屋で雑誌を立ち読みしたところ、もともと絵が下手らしくソックリには描きたくても描けない人である。つまり安っぽいだけだ、と一応プロとしては判定しましたよ。 同業者としてはどうでもいいけど、信太郎ファンとしては情けないよなァ。 そんなツマらんことより、初めて挿絵で信太郎ファンになられた方々へ。是非今度はどこかで油彩画の実物をご覧下さい。いままで取っ付きにくかった絵画というものが、断然大好きになることウケあいます。