昨日発売の芸術新潮6月号、ぼくのコラムは、赤塚不二夫の生んだキャラクター「服部竜之進」なのだッ! 70年代の大人向けマンガ(週刊文春に連載)だったので、知る人ぞ知る竜之進。少年マンガ嫌いのワタクシが唯一大ファンになりました。そのわけはコラムを読んでいただくとして、この竜之進なる少年は、いまを生きていたなら、43歳から48歳くらいの「新人類」世代。 偏差値、受験戦争、校内暴力などを経て、同世代間での死闘に明け暮れた世代。「オタク」、「サブカル」、「キレる」などがキーワードか。成人してからは、DJをやったり、グルメ気取りや、ウンチク君が多く、物で幸せになったり、ブランドや買い物が大好き。社会的有用性より個人的欲望が最優先だそうで、つまり世の中の事なんかより自分が大好き「自分主義」、とコラムを書くので調べてみたらそんなことらしい。現在、仕事好きで働き盛りの「ガンバル」年代でもあるそうで、「自分へのごほうび」や「自分をほめてあげたい」などで「モチベーションがあがる」らしい。 ともあれ、この新人類世代の少年時代をドキュメンタリーに描いた、赤塚不二夫先生の笑いのセンスは実に見事でした。なお我が愛する竜之進は、コラムに最期を書かなかったけれど、あの後すぐにオバーチャンに晒し首にされてしまうのでした。なので竜之進がどんな四十代になったのかは解からずじまい。それが残念なのだッ!
6月10日追記 オタクのメッカ秋葉原、7日に凄惨な殺傷事件が起きてしまった。今日のNHKニュースではどこだかの教授が、現代の社会に何か問題がないかを、これから探りたい、と言っていた。今さら何をネボケたことを。 官房長官はナイフなどの規制をもっと厳しくするべきだと言ってはお茶を濁す。 こういう大人達がつくり上げた唯物的な社会にこそ問題があるに決まっているだろう。
さらに追記 芸術新潮コラム「竜之進がゆく」の最後の部分に、ぼくはこんなことを書いていた。《 あれから三十年近くたった現在、殺傷事件が日常茶飯事の如く起きる時代になってしまった。なんと服部竜之進の、先見の明や恐るべし。》