プラダを着た悪魔

osamuharada2008-05-04

散歩の話の続きです。 青山界隈での散歩コースでは、根津美術館の庭(昼間は誰でも入れた)を、十代の頃から好きでよく歩いていた。現在は美術館の建て直し工事中のため入れないのがツラい。高樹町方面も日赤が只今大工事中で歩くには落ち着かない。仕方なく南青山の外資に乗っ取られたブランド路面店が並ぶ、租界(とぼくは呼んでいる)地区を歩くしかない。  何年か前にできたプラダの総ガラス張りの店は随分思い切った建築だなァと、またボンヤリ思いながら前を歩いていた。表の道から、横道(プラダカルティエの間)に入って空を見上げたら、電柱電線のこんがらがった異形なる物体がそこにあった。思わず撮ったのが上の写真。 日本中どこの都市にもある、お馴染みさんの日本風物だけれど、オシャレ建築な租界地にあるとはオドロキだ。 プラダの建物は総ガラス張りだから、中から外を見ても、電柱がマルミエなんじゃないのかよと、つい余計な心配をしてしまう。 「プラダを着た悪魔」という映画(メリル・ストリープが最高)でしか、ぼくの知らなかったプラダではあるが、中から電柱電線オブジェがどう見えるのかが、すごく気になったので(ヒマだね)初めて店内に入ってみた。 外から多分三階あたりだろうと目ボシはつけてある(ドロボウだね)。反対側の一階入り口から入ると、美人のオネーサンが出てきて、男性モノは三階ですよと丁寧に案内してくれた。女性専用のカバン屋さんだとばかり思っていたので、男モノとは意外。 まさか三階の窓外を見たかった、とは言えないから黙って上っていくと、ありましたヨ! 大きな菱形ガラスのすぐ向こうに、デーンとあの巨大な電柱電線オブジェが見えてるではないか。ほんとに見えちゃってるけど、コレでもいいの?と誰かに聞いてみたかったな。 その真っ黒なオブジェが見えるガラスの、すぐ横の菱形は全体が鏡になっている。髪の毛がツンツンに跳ね上がったパンク風な若い客が、プラダの服を試着しているのか、鏡の中のオノが姿に魅入りながら、店員オニーサンと何やら真剣に話しこんでいる。 離れたところから見ていると、電柱電線オブジェとツンツン頭が一体化してきて、なるほどこれぞ本物のプラダを着た悪魔だ!と、ちょっと感激したのであります。これが最近の、散歩中での収穫でした。