エルブグレンのチーズケーキ

osamuharada2008-04-25

今日発売の「芸術新潮」五月号、ぼくのコラムは、前にこのブログでも書いたアメリカ50年代のイラストレーターELVGREN についてです。広告用のイラストレーションでは、本来無記名であるため作者名が知られることはないのですが、エルブグレンの名声は「ピンナップ」と呼ばれる美人画の人気によるものなのでした。もともとこっちの世界では、エルブグレン以前にも、ヴァーガスやペティといった超人気画家がいたのです。ピンナップは、あまりに通俗的に過ぎて、芸術的な審美に値しないと思われていますが、これはかつて江戸の浮世絵師と同じことで、エルブグレンほどの絵師なら、百年後はパクスアメリカーナ時代の芸術家と賞賛されるはずです。もっとも百年後に芸術を理解できる人間が生き残っているかどうかなんて、皆目わからないですよね。 エルブグレンの絵では、美人のスカートを自然に捲り上げさせるために、よく犬を使ってます。散歩中に犬が何かに驚いて、リードが引っ張られるというようなアイデア。名人上手にかかると、この犬までも生気溌剌として描かれる。実にウマイもんです。動物好きの人が描く犬の絵だというのがよく解かる。最近になって、やっとエルブグレンの画集が、いくつか出版されているので、犬好きも健康的美人好きの人も、ついでに芸術好きの方も是非ご覧下さい。タイトルのチーズケーキとは脚線美の俗語です。
前に書いたエルブグレン [id:osamuharada:20051221]