景徳鎮の青花皿

osamuharada2008-03-17

今月もまた出光美術館俵屋宗達の「西行物語絵巻」が抜群に素晴らしかった。室町時代のオリジナル西行物語絵巻は失われていて、江戸時代初期に宗達が描いたものは、その模本のまた模本。しかし宗達以前のものや、後の尾形光琳の模本に比べても、圧倒的に宗達西行絵巻がいい。天才とは一目瞭然としていて、おのずと顕れ出でているものですね。再び右脳が鍛えられました。出光美術館所蔵で、重要文化財に指定されています。
出光美術館には、絵を見た後で余韻を楽しむのに、皇居を眼下にした眺めの良いロビーがあります。ゆったりとソファに座って、熱い焙じ茶も無料セルフサービスで飲める。さらにその奥には常設の陶磁器展示室があるので、やきもの好きにはたまらない。縄文土器から始まる陶片コレクションは木の抽斗に入っていて、自由に引き出して見られ、これが未知の宝物をまるで自分で発掘してるような気分がして実に楽しい。突き当たりの展示棚にはいつも中国の陶磁器が並んでいて、これは不遜にも欲しいものだらけで困っちゃう。この部屋は左側が大きくガラス窓なので、展示品を太陽光の直射で鑑賞できる。色彩が輝くようでこれがまたいいな。 前にこの展示で見た、中国景徳鎮窯の染付け(中国では青花と呼ぶ)の皿に、以前から愛用している銀座東哉の皿とまったく同じものを見つけた時は嬉しかった。上の写真がぼくの東哉の皿、これは明代景徳鎮窯の「写し」だったワケです。同じ絵柄でも中国オリジナルでは、絵が東哉の絵付けより素朴で鄙びた味わいがある。東哉製のは絵がキッチリとして清涼感がある。職人の民族的感覚の違いだろうか。 ぼくはこの東哉の染付け皿を、もっぱら魚の刺身専用に用いています。特に白身魚イカ刺しなどにピッタリ。染付け磁器の持つ硬質な清潔感が、刺身の新鮮度をさらにアップさせて見せてくれるところが気に入っている。絵付けが達者で上手いところも、生魚のフレッシュネスに見合っている。中華料理と日本料理の差異が、染付けの全く同じ絵柄にも、自然と現われているのでしょうね。こんなことを発見したり考えたりもできる、嬉し楽しい出光美術館なのです。