ホックニーの田園回帰

osamuharada2008-02-07

再び、人からのいただき物の本についての話。 デヴィッド・ホックニーの新作画集を、アート・ディーラーのM氏から、お土産に貰った。2006年、ロンドンでの個展出品作の画集で、ホックニーが生まれ故郷の英国ヨークシャーの風景を描いた連作。 驚いたなァ、これはちょっと意外でしょ。あの、ポップアートの後塵を拝した感ありの、カリフォルニア風のスノビズムで売った画家が、イギリスの田舎の風景を描いたとは。それも畦道にイーゼルを立てて印象派スタイル、キャンバスに油絵具という、すっかりコンサバティブですよ。タイトルは DAVID HOCKNY, A Year in Yorkshire 。 画集の最後に上の写真がありました。この英国北東部の自然が素晴らしい。良い季節に、外光で絵を描く喜びは画家の特権でしょう。ホックニーも老いて、いよいよ静かなる田園生活に落ち着くのかなと、うっかり信じそうになっちゃう写真ですが、まさかね。芝居がかってるけど、コントかな。  はたまた今度は、英国最大の風景画家といわれたターナーの後塵を拝すつもりなのか。 ホックニーという人は名声が先に歩くような画家で、ポスト・ウォーホールだな。昨今のバブル的な絵画投機ブームでは、ますますその名前に値が大きく付いて、グングン跳ね上がっているらしい。絵画の先物取引物件といったところ。何を描いても話題性があれば、それに高値がつくというのが今の時代らしい。 昔からホックニーは誰にでも解かりやすい絵なので、日本のイラストレーター間には信者が多くて驚かされる。ソックリさんもいるけれど、同業者の悪口は良くないです。 またゲイの人たちには、当然ながら絶大の人気のある画家でしたね。今回の、一見凡庸な風景画は、どことなくその色感にホモらしさ?が現われてるようで、ちょっとぼくには気持悪い。畦道や野の花が、派手なピンクや紫色だったりして、奇妙な色気が出ている。多分そこがウケるのでしょうが。 一つの風景を6分割して描き、6枚のキャンバスを並べて陳列する作品もあって、プールやポラロイド写真の分割でお馴染みの、現代アート好みになっているところなどは、サーヴィス精神旺盛ですな。これはターナーゴッホもやってないもんね。ところで 画集を貰っておいて、こんな感想文では、もうお土産くれなくなっちゃうな。常に親切なMさんには、いつもながらの毒舌でスイマセン。