鉄斎と饅頭

osamuharada2007-10-27

今月の「芸術新潮」11月号ぼくのコラムでは、富岡鉄斎と和菓子の「とらや」について書きました。鉄斎が虎屋主人に贈った画賛が、現在も虎屋の酒饅頭の箱に、掛け紙として使われています。昔からそれが好きだったので、図版用に撮影をしてもらって、大いに褒めちぎっちゃったわけ。掛け紙といったってインチキ赤福のとは次元が違いますよ(言わずもがな)。もっとも美術専門のコラムなので、中身の饅頭については触れていません。  若い頃から「ぼくの美術帖」でも、富岡鉄斎こそ近世から近代にかけての、日本が生んだ最大の天才と評してきましたが、これは太鼓判をおしちゃう。今なおその思いは強くなり、いつ見てもその雄大桃源郷にすぐ入り込めるコツをぼくは体得しています。印刷物などでは当然何もわかりませんよ。必ず実物、それも初めての方なら屏風などの大作からご覧下さい。気宇壮大なる絵の前で、最初はただ唖然とするはずです。
上は仙人の如き鉄斎の写真。「万巻の書を読み 万里の道をゆく」を実践してきた人の画室です。京都室町一条の「とらや」さんから歩いて2分のところに鉄斎邸(現存する)があります。とらや一条店には「虎屋饅頭」と鉄斎が書いた扁額あり。

関西でいつも鉄斎が見られる(羨ましい)美術館は、兵庫県宝塚清荒神の「鉄斎美術館」 http://www.kiyoshikojin.or.jp/tessai/

東京では12月16日まで、ホテル・オークラの大倉集古館にて「富岡鉄斎展」開催中(ただ小品ばかりでマニア向き) http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/shukokan/