前述のBRASSAI写真集、The Artists Of My Life です。アトリエでモデルを前にしたマティス晩年の姿が表紙を飾っていますね。ブラッサイは、はじめ画家を志してパリにやって来たそうで、生涯芸術家に対しては思い入れが強くありました。２０世紀の大芸術家達と親しく身近に接してみて、その風貌から芸術観までを余すことなく見事にとらえています。単なるポートレート写真を超えて、写真による芸術家への賛美が伝わってくる写真集です。見て読むうちに、美術評論家が書くような芸術論など、読むだけ無駄だなァとつくづく実感しますよ。視覚芸術の美術というものは、本来一目瞭然なものでしょう。理屈はいらない。それがこの写真集。 ブラッサイは文章のみで、ピカソに取材した本も出版しています。日本語版は、みすず書房『語るピカソ』です。これも美術好きの人には必読書。ただ現在は絶版になっているので、これも古本でお探し下さい。
