金魚売りのミニチュア

osamuharada2007-08-08

戦後の下町育ちで懐かしく思い出すのは、夏になるとやって来る、金魚売りの呼び声「キンギョェーエ、キンギョー」。釣忍や風鈴売りとともに夏の風物詩だったけれど、今の東京にはもう無いでしょうね。このミニチュア(屋台風物模型の一種)の金魚屋さんは、むかし銀座の「平つか」で見つけたものです。ぼくの知ってた金魚売りは、リヤカーに水槽を積んでいたから、だいぶ近代的?でした。これはボテフリ(棒手振)と呼ばれた天秤棒に荷を下げて売る江戸時代からのスタイルです。右の金魚の桶の持ち手からは、ちいさな亀がぶら下っています。金魚たちの大きさは5ミリ程度。極端に小さいという事は、見る人にさらなる客観性を与え、可愛らしさがいや増すのでしょう(分析するような事じゃないですが)。コレ、平つかさんで見つけた瞬間に、好きな久保田万太郎の句が頭に浮かんだことを思い出します。
  『 金魚の荷あらしのなかに下ろしけり 』
それで買って帰ってから、すぐ柳の葉を風に吹かれているかのように、自分でちょっと直してしまったのでした。二十年くらい経ったので、全体に色が褪せてきて古めかしくなるのは残念です。こんな愛くるしい仕事ができる古い職人さんも、また金魚売りとともに、もういなくなったんでしょうね。
前に書いた寄席のミニチュアは、id:osamuharada:20050303
平つかさんの花のミニチュアは、id:osamuharada:20050506