BLACK & WHITEの犬達

osamuharada2007-05-17

松竹の小津安二郎監督が、'61年に東宝で撮った『小早川家の秋』。これは上方歌舞伎中村鴈治郎(二代目)や浪花千栄子(この二人が最高!)と東宝のスター達が揃い踏みをしている素晴らしいコメディですが、冒頭の森繁久弥加東大介が出ている大阪の、とあるBARでの愉快なシークェンス。そこの壁の棚にウィスキーのブラック&ホワイト犬が登場しているのです。この写真はぼくの持っている犬達ですが、多分映画に出ているのと全く同じ50年代英国製のプレミアム犬だと思います。小早川家はリアルタイムで観た大好きな映画でしたが、80年代にLDになって見直した時にBARの犬に気付き、断然欲しくなりました。70年代頃から日本の酒屋の景品でもよくあったけれど、日本製のは安っぽくて、顔の表情も全然可愛くはないし、サイズも小さい。成形型がヘタクソで犬種だってはっきりしていない感じ。そこで骨董屋さん巡りをして、50年代の本物をついに探し求めたのがコレというわけ。スコッチウィスキーふたつの生産地域を代表する、スコッチテリア犬とウエストハイランド・ホワイトテリア犬。爾来ぼくのホームバー専属になっています。昔はシングルモルトなどはまだ一般化していない時代、ブラック&ホワイトやジョニーウォーカー、ホワイトホースなどが輸入スコッチのブレンドウィスキー代表格でした。小津調の小道具に、スコットランドのタータン・チェック柄もよく出てきますが、60年代当時はスコッチ風が流行っていたのでした。ぼくも高校生の時分、制服が紺スーツでネクタイは自由というので、タータン・チェックのタイあれこればかりをしめてはイキがっていましたよ。

小早川家の秋 [DVD]

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