ニューヨークの川端実

osamuharada2007-03-07

永年の願い叶って、わが師でもある川端実の展覧会を、来たる3月30日から4月20日まで開くことになりました。2001年に90歳で亡くなって以来、初の個展です。場所は築地パレットクラブ。会期中は無休です。モダンアートがお好きなかた、拙著「ぼくの美術帖」をお読みくださったかた、是非この機会に実物をご覧下さいね。抽象表現主義の流れを汲む川端作品は大画面がその特徴の一つ。今回は大作ばかり10点を展示します。カラーフィールドと呼ばれる色彩画面の美しさに全身包み込まれることでしょう。展覧会の詳細はまたこのブログにて追記しますが、つい嬉しさのあまり、とりあえずのお知らせというわけです。
上の写真は’92年出版の「ニューヨークの川端実」。ぼくと先輩デザイナーの新谷雅弘さんの二人で取材撮影して作りました。マンハッタンの南、ハドソン河に沿った先生のアトリエへ冬と夏にたずねインタビューを重ねた様子は、以前このブログ(id:osamuharada:20050213)でも書きました。ある日、先生の日常を外で撮影しようと、散歩コースにくっついて歩いたのですが、当時80歳であるにもかかわらず健脚で、歩くのがとにかく早い。その速度はこれぞまさしくニューヨークのスピードなんだなァと変なことに感心したものです。ぼくにとって貴重な写真は、アクリル絵具を混ぜ合わせる方法で、絵具皿の替わりに古い新聞紙(ニューヨークタイムス)を用いるところを実際にやってもらったシーンです。新聞紙の上にチューブから出た4色の絵具を、先生が絵筆を走らせ混色し始めると、魔法にかかったように、生き物でもあるかのように美しく色彩が躍動した瞬間でした。その他、この本にはぼく自身が知りたかった画家の秘伝(大げさですが)を写真とインタビューで構成して、さらに作品を掲載してあります。ちょっと不思議な本なのです。’92年京都国立近代美術館での回顧展で主に販売しました。まだ残存分がありますので、このブログから通販致します。
追記(3月11日) 通販の分が完売(ビックリです)してしまいました。どうもありがとうございました。