カナルストリートの看板猫

osamuharada2007-02-24

’79年のニューヨーク、当時むこうに住んでいた故ペーター佐藤と連れ立って、下町のカナルストリートにある大きな画材屋「パールペイント」へ行ったことがありました。仕事用と趣味用の画材や紙類を山ほど買った後、同じ通りの何屋だか判然としないけれど、浅草橋にあるような店舗用の装飾品を売ってる店で、この猫の看板(かどうかは不明)を発見。汚いダンボール箱に埃をかぶって、同じ猫の板が20枚くらい、隣の箱にはテリア犬のやはり看板風が並び、入り口脇の地面に置かれていた。何かのデッドストックのようだが、どういう意味があるのか店員に聞いてもハテナ?といったジェスチャーをつれなくするだけ。単なるガラクタなんでしょう。犬も猫も好きであるのと、オサムグッズの為の資料的価値ありと無理に考え、とりあえず自分用に買ったものの、安いし沢山あるから、これは友達の土産にもいいかなとまた数枚ずつ買い足し、両手に持つ限界点までいった頃には、ペーターが呆れた感じで静かに笑っていました。
かくして、犬猫看板は、それぞれ犬好きと猫好きな友人に帰ってからプレゼント。ぼくのもとにも犬と猫が一対残り、白と茶がブチのテリア犬のほうは、やがて合板が反って剥がれて損壊。そして今はこの黒猫だけが残った。この猫はちょっと怒った感じの威嚇ポーズなので、鼠よけじゃないの?という人もあり、確かにいきなり見ると一瞬ドキッとします。幅は40cmくらい、厚み1cmの板は黒くペイントされ、顔はシルクスクリーン印刷。結局、何の看板なのかは解からず仕舞いのまま、懐かしき思い出とともに部屋の片隅で、いつも何かを威嚇し続けているのでした。