弁天小僧菊之助

osamuharada2006-12-26

去年11月このブログ(id:osamuharada:20051119)にも書いた、今日は尾上松助の一周忌。何だかまだ信じられない気持のまま、先月は松助最後の舞台となった同じ新橋演舞場で、息子の松也君が演じる「白浪五人男」の赤星十三郎を観ました。思った通りピッタリのはまり役で素晴らしいデキ。つい嬉しくなって、おい良かったなァ、と心の中で松助に言いました。きっとよい供養になったことでしょう。(写真は先月楽屋の着到)
パレットクラブのイラストの教室で、生前何度か尾上松助に歌舞伎の扮装や顔(隈取など)の講義をしてもらったことがありました。ポン友のよしみ、ぼくが授業のオマケで、何か芝居のサワリを一つやってくれよとせがむと、松助は扇子をキセルに見立てて、弁天小僧菊之助、濱松屋の場をやってくれました。「知らざァ云ってェ聞かせやしょう・・」朗々として抜けるような口跡は、江戸時代最末期の美意識「鯔背」や「傳法」そのもので、そばで聴いていたぼくには震えがきましたよ。
これを書きながら、若い頃に松助(当時は新也)をさそって、その頃ぼくがハマって追っかけをしていた三遊亭円生の落語、「中村仲蔵」を一緒に聴きに行ったことがあるのを思い出しました。渋谷の東横ホールです。終わった後に飲みながら、円生の演じた歌舞伎役者の芸の噺のなかでの、細かい仕草やセリフについて、上手いもんだなァと感心していた彼の若々しい笑顔がとても懐かしい。