今年を振り返ってみると、一番よく聴いたCDは、ブルーグラスの女性歌手Rhonda Vincentだったかな。彼女の声と歌いっぷりにすっかりハマっていました。アメリカの伝統音楽ブルーグラスを聴く日本人はほとんどいないらしいけれど、ぼくは40年来のファンなのです。ブルーグラスはアメリカ中西部のプア・ホワイト(貧乏白人)と呼ばれる人々の伝統音楽を、戦後に発展させた新民謡とでもいう音楽ですね。カントリーウェスタンはこれをさらにポピュラーにしたもの。ブルーグラスはビル・モンローから始まって、もともとオヤジの歌手ばかりだったのが、5,6年前から女性歌手達が出現して人気を独占するようになり、その最強のスターがこのロンダ・ヴィンセント。とにかく彼女の歌はカッコイイの一言につきる。オヤジよりも男らしくて、抜けるように明るく力強い美声です。得意とする楽器はフラットマンドリン。
彼女のルーツ、プア・ホワイト(蔑称ですね)はスコットランドやアイルランドからの移民の子孫で、白人といってもブッシュみたいなアメリカ支配階級のWASP(アングロサクソン系白人でプロテスタント)とはぜんぜん違う。遡ると古代ケルト系になっちゃう白人なのです。彼ら白人移民がスコットランドの山奥からマウンテンミュージックなどの民謡をアメリカに持ってきたのが、ブルーグラス音楽のルーツでした。ついでながらその貧しい白人移民の音楽と、奴隷だった黒人音楽とが混血してロックンロールが生まれたわけ。その代表選手エルヴィス・プレスリーの物真似をWASP代表ブッシュの前でやったコイズミってぇひと、そうとうのバカですね。(つまらない余談)
ロンダ・ヴィンセントのヒットアルバム‘All American Bluegrass Girl’では、カントリー・ミュージック界の大御所、あのドリー・パートンが一曲デュエットしていて、ちゃんと若手を応援しています。さらにモダン・ブルーグラスの大御所オズボーンブラザースのボビー・オズボーンともデュエット。男性ブルーグラスではぼくのベストワンだったので、このトリビュートにはまいった。しかもオズボーンブラザースの曲で一番好きだった‘Midnight Angel’をやってくれたので完全にノックアウトされました。楽器演奏も全員が名人芸の持ち主で、ギター、バンジョー、ドブロギター、フィドル、そしてロンダのフラットマンドリンとすべてが完璧。ホームページを見ると来年も年間スケジュールはぎっしりつまっていて、かのテネシー州ナッシュビル(カントリー音楽の総本山)にもたびたび出演とのこと、若ければアメリカ中西部を追っかけしたいです。
- アーティスト: Rhonda Vincent
- 出版社/メーカー: Rounder / Umgd
- 発売日: 2006/05/23
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Beautiful Star: A Christmas Collection
- アーティスト: Rhonda Vincent
- 出版社/メーカー: Rounder / Umgd
- 発売日: 2006/10/17
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