画家のおもちゃ箱

osamuharada2005-12-14

あまりきちんと続けて書けなかった(スイマセン読んでいただいて)このブログですが、今年の元旦から始めて、はや一年近くたちました。はじめにこんな感じのブログにしようかなあと、ふと思い付いたヒントがこの『画家のおもちゃ箱』という本のことでした。文化出版局『ミセス』という雑誌に連載されていた、画家猪熊弦一郎の身辺のモノやインテリアの写真と、本人のエッセイからなるページを、後で一冊の本にまとめたものです。まず写真が素晴らしくて、カメラはモノ撮り名人の大倉舜二です。
出版された当時、本屋さんで見た時の最初に目がいったページが、チャールス・イームズの緑色の椅子でした。ちょうどぼくの持ってたいたイームズと同じ緑色だったからです。早速買って読んでみると、ニューヨークに住んでいた猪熊弦一郎イームズ夫妻と仲良しだったことが書いてありました。そのちょっとした楽しいエピソードや、モノをテーマにした思い出の話が面白く、また写真の構図が見事(プロだから当たり前ですね)だし、編集デザインも洒落ていて気持が良いのでした。梱包ゲイジュツのクリストのオブジェや、ジャスパー・ジョーンズアンディ・ウォーホールの作品もさりげなく部屋に溶け込んでいます。好きなモノと一緒に写っている猪熊弦一郎の抽象画もいいのです(ぼくはあまり好きな画家ではないのですが)。奥さんの趣味もかなり濃厚で、アーリー・アメリカンやヴィクトリアンの骨董からジャンクまで素敵です。なによりこの夫婦の過ごしたよき時代のアメリカが伝わってくるところが、何といってもぼくは一番好きなところです。
というわけで、雲泥の差、似ても似つかぬこのブログですが、元ネタのほうは大変良いので興味ある方は是非本物をご覧なさって下さいね。1984年(8000円でした)に出ていたので、とっくに絶版かな?図書館にあるといいですね。