月の輪熊

osamuharada2005-11-24

先日NHKのハイヴィジョンで、世界の熊を取材した連続番組をやっていました。北極のシロクマは小熊時代が最高に可愛くて、大きくなると最強の熊になるので、さすがにちょっと怖くなってくる。ヒグマも同じ。そして我がニホンツキノワグマの出番。小熊の可愛らしさは格別で、親熊も小柄な体でなんとなくおとなしそう。黒い体の胸に白い三日月が、なんといってもグッドデザインです。山に住み、果物、草、アリなどを食べて、おもに夜歩き専門だそうです。人は襲わなかったのに、昔は逆に人間に襲われて、毛皮の敷物にされたり、熊の胆(クマノイ、強壮薬)にされて、現在は森林伐採で山を追われ絶滅の危機に瀕しています。
子供の時分、銀座松屋の裏あたりだったか、喫茶店の入り口横に金網を張ったケージがあり、その中に年老いた月の輪熊がいました。多分、店の客寄せのつもりだったのでしょう。宣伝広告用ですね。狭い箱のなかで、落ち着きの無い動作とその姿を見ると切なくなって、いつも前を通る時に悲しくなりました。今ならトラウマですね。暗い箱の奥でかすかに浮かんだ白い三日月。子供心にその喫茶店を呪いたくなりました。今思い出しても同じ思いに駆られます。
写真の月の輪熊の人形は、先日骨董屋さんの店先を通りかかった時に見つけました。雑然としたガラクタと一緒に半端ものとして、ほこりまみれで売られていました。端午の節句(こどもの日)、五月人形の金太郎さんと足柄山で相撲を取って、負けちゃった熊です。人形セットとして主人公の金太郎がいないから役に立たない、それで250円ナリ。木片の台を作って、ぼくの仕事部屋に飾ってあります。