成瀬巳喜男

osamuharada2005-09-07

生誕100年ということで、フィルムセンターやNHK BS放送などでは、成瀬巳喜男監督作品の大特集を今やっているところです。ぼくもまた熱烈成瀬ファンなので勝手に宣伝させてくださいね。ぼくの好きな成瀬映画の1番目は、まず1956年『流れる』で、2番目が戦中1943年の『歌行燈』(原作泉鏡花、脚色久保田万太郎、美術時代考証木村荘八というマニアにはたまらない陣営)、3番がやはり新派の出し物で戦前1938年『鶴八鶴次郎』と、古いところがベスト3です。ついでぼくは『めし』、『稲妻』、『浮雲』という順番を昔からつけています。どの映画も傑作ですが、ぼくのこのベスト3は、そのまますべて女優山田五十鈴の、ぼくのベスト3作品でもあるのです。『流れる』における病み上がりの浴衣姿で三味線をさらうシークエンス、『歌行燈』の座敷で舞う、能の舞い(上の写真)、『鶴八鶴次郎』の舞台で新内の三味線をひく場面、とすべて日本の芸をスクリーンで見せていて、そのどれでもが本格の芸として完成されていて素晴らしく、その演じる姿かたちはまるで動く小村雪岱の絵といった感じ。声が良くって、セリフ回しの口跡は日本語の美しさを引き立てています。また『歌行燈』は花柳章太郎の舞台での当たり役恩地喜多八をはじめ新派俳優でかたまっているので、ぼくには子供の頃に新橋演舞場で観ていた懐かしい俳優たち、新派の舞台あれこれを思い出させてくれます。それにしても新派の名優たちを映画では超える女優山田五十鈴は凄い!是非このぼくのおすすめリストでも、日本の美・成瀬タッチと、スーパースター山田五十鈴をご覧下さい。
明日9月8日、午後1時からBS2で『歌行燈』放映。今月来月とまだまだ東京国立近代美術館フィルムセンターでも上映します。早くすべてDVD化もして欲しいんだけどな。


流れる [DVD]

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