椰子

osamuharada2005-02-11

島にアトリエを造った20年前、中庭にぼくの背より低いココスという小さな椰子を植えました。島の人に譲ってもらったその可愛いココスも、今は5mに成長。枯れ枝を下ろすにも脚立が必要になりました。薄い黄色の細かい花が咲くと、後で2cm位のビワに似た実もたわわにつきます。実が熟すと甘酸っぱい香りが中庭いっぱいに拡がります。果実酒にするとジャスミンのような香りのリキュールができるのです。味は梅酒に似ています。ラム酒と炭酸を加えると旨い、自ら名付けてカクテル「バリ・ハイ」のできあがり。直径1mにもなった太い幹は、羊歯の葉が勝手について覆われてしまいました。去年、この椰子を室内から眺めてみたいなと思い、中庭に高さ3mの位置にガラス窓のあるホームBARを自分で設計して、島の友人の左官屋さんに造ってもらいました。写真はカウンターに座った位置から撮ったものです。向こうの10m以上ある大きな椰子はカナリーヤシです。あと他に2本の椰子が庭に植わっていてそれ以外の木はありません。
ぼくが椰子を好きな理由は、また映画の話ばかりになっちゃいますが、中学生の時に観たミュージカル映画『南太平洋』の影響なんです。ひとことで椰子の魅力を云うなら、トロピカル。それにつきますよね。30年くらい前、その映画のロケ地だったハワイのカウアイ島へ初めて行った時に、本物の椰子を見てすっかり魅了されました。『南太平洋』でもうひとつ夢中になったのが、フランス・ニュイエンという中国人の女優さん。映画ではトンキン人の脇役で、椰子の茂るバリ・ハイという架空の島の、竹の家に住んでいる。“Happy Talk”という唄で、滝のそばの水中で踊るシーンが特に美しい、中学生のぼくは恋こがれたのでありました。なのでトロピカル・カクテルをやり、椰子を眺めながら聴く、リチャード・ロジャース(作曲)、オスカー・ハマースタイン(作詞)の名曲「ハッピー・トーク」や「バリ・ハイ」、「魅惑の宵」がやっぱり最高だぜ!というような、ヘンな老人になりそうです。

南太平洋 [DVD]

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このDVDジャケット、フランス・ニュイエンの写真が出てないのはケシカラン。