今日もデザインノート

osamuharada2015-08-07

ヤツガレもデザイナーのはしくれとして、一言いわせてもらっちゃおう。パクリ疑惑の東京五輪エンブレムデザイン。当のデザイナー釈明会見を聴いて、オヤッ?変だなと思ったのは、似てる似てないの主観的問題ではなく、デザインそのものの「解説」のほうでした。
ベルギーの国立劇場【 Theatre de Liege 】 には、【 T 】と【 L 】とに単純な必然性がある。誰にでも、ひと目であの劇場名だな、と意味が通じる。これに比べると東京五輪は、Tokyo の【 T 】だけはわかるけど、【 L 】になんの必然性もないではないか。結局デザイナーの言い分は、【 L 】のセリフ(文字のはね部分)のほうは文字ではなく、隠された日の丸の輪郭線であるというような解説をしていた。苦しい言いわけに過ぎない。何かのシンボルとしてのデザインというものは、一瞬のうちに内容が分るものでなければならない。それがデザインの基本というものでしょ。
もっとも、シンボルの裏に隠された意味があるとしたら、日の丸=大日本帝国ってことかしらね。いまのアベ政権下なら大いに有りうる。つまるところ、現体制にベッタリ盲従しないことには、生活が成りたたないデザイナーに悲哀を感じてしまうな。いままでに自国の国旗を、世界オリンピックのマークに使っちゃった例は、前の東京五輪(デザイナーは亀倉雄策)くらいで、他国はそんな馬鹿げた国威発揚デザインなんぞしたことないでしょう。今回は世界オリンピックの場を借りて、戦争のできる「日本をとりもどす」アベキャンペーンに利用されている。それがパクリ疑惑のせいでケチがついたといったところ。これ以上デザイン問題でダメージをうけたくなかったら、三波春夫の「東京五輪音頭」を復活させればよい。仲良く歌い踊れば、平和を愛する日本人らしくていいじゃないか。これ一発でダメージは払拭できると思うのですが。