水丸式〈男のお洒落〉

osamuharada2014-10-10

ポケットにいつも懐中時計というのが、長年の身についた習慣になっている。最近「安西水丸」さん検索で、このBlogを見るかたがいらっしゃるけれど、それで以前に書いてた水丸さんと時計のことを思い出しましたよ(Blogは備忘録)。そういえば、こんなこと書いていたんだっけ。→[id:osamuharada:20081120]
読み返してみると、たしかに懐中時計は便利だよと水丸さんからすすめられたのだけれど、ぼくのこんな(写真だと高そうに見える)安物ではなく、水丸さんのはアンティークの本格的手巻懐中時計で、多分お洒落のつもりで持っていたんだな、と今ごろようやく気がついた。人前で時計の竜頭を巻く仕草までカッコつけるような、ダンディズムというアレね。ぼくのは〈実用〉電池式だからカッコつけようがない。〈男のお洒落〉は水丸先輩にかなわなかった。
そういえば、パイプのほうは水丸さんと同時期にハマった趣味で、ニューヨークのマジソン街にあった煙草専門店へ一緒に行ったとき、競うようにしてパイプとパイプ煙草を買った記憶がある。顔の大きな水丸さんには、ブルドッグボウルやオームボウル型の大きなパイプがよく似合っていた。小顔のぼくは小振りの平凡なビリヤード型しか合わなくて、パイプもまた〈実用〉で選んでいた。
外国のパイプ煙草の缶は、よく水丸さんのイラストレーション(イラストと縮めるのを嫌った)に登場した。これはどこの何が美味いだの、香りが好きだの、どこの缶のデザインがいいなどとよく共通の話題にあがった。水丸さんの後年は、葉巻が多くなったようだった。パイプは手入れが面倒くさいからねと言い訳をしていたが、老いて、太い葉巻がよく似合っていたから、あれも半分は〈男のお洒落〉だったんじゃないかな、とも思う。