ダブル・ハピネス

osamuharada2014-03-20

台北ぶらり散歩の途中で、『 国立歴史博物館 』へ入ってみたら、「喜」の文字を二つ並べてくっつけた、おめでたいデザインの展覧会をやっていた。日本でなら「寿」という感じでしょうか。幸福のシンボルマーク。伝説化されたロマンチックな話では、千年も前に王安石という人が考案したことになっている。結婚式の引き出物や招待状、ご祝儀物、刺繍や織物、アクセサリー、生活用品や文具に家具建具、ありとあらゆるものに使われて、いまでも人々に愛され続けているようです。英語では “DOUBLE HAPPINES”、その文物の歴史をたどる可愛らしい展覧会。
解説文には、これを文字とは呼ばずに Character とあるので、つまりはキャラクター・グッズではないですか。なんだ、これならぼくのテリトリーではないか。そういえば'70年代初期に雑誌『 an・an 』で香港特集の取材をしたおり、様々なこの喜喜キャラクターに出会って、さっそく見開きページのイラストの中に、でっかく描いたことがありました。考えたら四十年も昔のこと。
それ以来この「ダブル・ハピネス」が気にいってしまい、オサムグッズの〈 シノワズリー・シリーズ 〉では大々的に使用させてもらっちゃいましたよ(拙著『 オサムグッズ スタイル 』49頁の中国皿)。ダブル・ハピネスを中央に、ぼくのキャラクターたちが周囲を飾る中国風の八角皿です。もちろんダブル・ハピネスの喜喜文字もオリジナルデザインで、自分でレタリングをしています。いま見てもワレながら凝っている。
というわけで、ゆくりなく好きなデザインにめぐり会えて幸運でした。この小さな博物館は、訪れる観光客も少なく(いった時には誰もいなかった)、静かに美術品を眺めるのに最適です。上階にある明るいカフェは、お隣の植物園の蓮池を見おろし、街中には珍しく緑ゆたかな環境。ここでは花のお茶を飲みました。思わぬところで展覧会とカフェの、ダブル・ハピネス。ここも台北の穴場ですね。