シド・ホフの大人絵本

osamuharada2013-12-03

ウチナーンチュには申し訳ないけれど、かつてアメリカの従軍家族が残していったジャンクや USED モノを探しだすという楽しみが、基地の島、沖縄にはまだある。那覇の FISH BOWL という店で、六〇年代のシド・ホフ【 SYD HOFF 】の絵本を八冊も見つけた。半分以上はすでに絶版になっているので、ヤツガレにとっては掘り出し物だ。
’58年出版のロングセラー【 DANNY and the DINOSAUR 】(邦訳『きょうりゅうくんとさんぽ』)は、博物館にある恐竜が動き出して主人公の男の子と友達になる話でしたが、同じ恐竜がでる話でも’62年【 STANLEY 】は大人の原始人が主人公。スタンレイは、恐竜たちや小動物にやさしく、花をめで、洞窟壁画まで描いてしまう温和な自由人。しかし不快な洞窟暮らしに嫌気がさして、ひとり快適な住まいを求めてさまよい続け、やがては草原に小さな家を自分で建てる。石を組んで屋根を葺き、ドアや窓を取り付け、煙突までつくっちゃう。これが人類初の「家」ということになるらしい。花を植えて庭をつくり、室内には(洞窟壁画ではなく)フツーの画家のように絵を描いて壁にかけている。かつてはスタンレイを追い出したThe Cavemen(穴居人仲間)も、明るく快適な彼の家に招かれ、みなみな影響をうけ暗くて寒い洞窟を抜け出し、マイホームを建てちゃいましたというハッピーエンド。はたして子供き向絵本なのかどうかは判らないけれど、この平和主義者で、自立した原始人スタンレイ君が気に入りました。シド・ホフの漫画様式の絵は、この暢気なストリーにこそふさわしい。古き良き時代のアメリカが偲ばれる。 前にハワイで見つけた「シド・ホフの絵本」[id:osamuharada:20120324]
シド・ホフの他にも、安いので六〇年代の古絵本をヤマほど買って帰ったが、なかには未見の漫画家が描いた大人向け絵本もあった。どうやらカートゥン全盛期には、この手の大人絵本も数多く出版されていたようだ。ちょいとコレクションなどしてみたくなってきたな。