節電銀座

osamuharada2011-05-23

先週、所用で東京へ戻ったついでに銀座へ寄り道しました。日が沈むと、夜の銀座通りは暗くて、ものさびしげだった。半年前に撮った同じ場所も、「節電」とやらで看板のライトを消しているから、何の店かが判然としない。銀座悲しや、痛々しき姿に悪口をいう気はもうない。コチラが前の写真→[id:osamuharada:20101212]
晴れわたった昼間の銀座を歩いた時には、3.11以前と少しも変わっていないような錯覚におちいる。しかし楽しそうに街ゆく人々の、よく見るとどこか不安げな表情が印象的だ。地下鉄に乗っても以前とはどこか人の雰囲気が違う、陰鬱な気配がただよっている。余震の他に、二ヶ月以上も最悪の事態のままの人災が続いているから、無理やりに平常心を装っているのかもしれない。馴染みの小料理屋さんも、客がすっかり減ったし、食物の放射能汚染では不安な毎日を過ごしているようだった。一日も早く、この非常事態が終わることを願わずにはいられない。
ぼくの会社で頼んでいる税理士さんは、打ち合わせがすんだ後で、今年の夏の節電対策は、就業時間やパソコンを使える時間が大幅に制限されるから、会計事務所の仕事も大変になりそうだと嘆いていた。ぼくが、節電というけど、原発が無くても電力は充分に足りるそうですよ、というと怪訝な顔をした。
真夏用の電力が足りないというなら、東京電力もすでに持っている「天然ガス発電機」を今すぐ運転さえすれば、節電などまったく無用。天然ガスによる火力発電は、安価で、CO2も排出しない最もクリーンな発電機で、世界の先進国では、これが現在の主力発電になっている設備なのだそうですよ。とさらに説明したら、そんなにいいモノなら、じゃあなんで誰もそれを使えと言わないのですか?と聞かれた。
後であらためてNEWSを調べ返してみたら、この天然ガス発電については、マスコミが故意に伏せているような感じがしてきた。同じ東電内部でも、原発グループからは邪魔者扱いされているセクションらしい。脱原発派になった孫さんも、4,5年先の太陽光発電機と、スマートグリットのほうを売り込むビジネスチャンスと心得ているためか、すでに開発されている天然ガス発電機については言及していないようだ。前回紹介した、広瀬隆さんの『福島原発メルトダウン』をぜひ読んでいただきたい。
行政はマスコミ情報を一元的に支配していると思う。節電対策とは「節電」を強制させることによって、人々の仕事や生活を不安定なものにし、常に不安感をあおり、だからやっぱり原発というものは必要なのだぞ!と再び人々に妄信を抱かせるキャンペーンだ。これでは言論統制による、一種の恐怖政治ではないだろうか。
マスコミでは、原発推進国の、中国主席と韓国大統領がやって来て、カンと福島産の野菜をマスコミの前で食べるという、コドモじみたパフォーマンスを流していた。3バカトリオによる風評コントか。マンガの国にこそふさわしい情報操作といえる。これぞカン原発教祖の「新・安全神話」づくり第一歩というワケだな。テレビを見ている大人はどうでもいいけれど、放射能被害の最大の犠牲者である幼い子供たちをまき込むことだけは、絶対にやめてくれないか。
銀座の昼下がり、四丁目交差点に立った時は快晴で、北東から吹く風は強かった。むこうから若いお母さんが小さい女の子の手をひいて歩いてきた。マスクはさせていない。すれちがいに、可愛い子供の朗らかな笑顔を見たら、「目に見えない恐怖」が、またぼくを襲ってきた。
東京電力天然ガス発電機(コンバインドサイクル発電)→http://www.tepco.co.jp/tp/howto_h/macc/index-j.html
三菱重工が世界最高と誇るガスタービンhttp://www.mhi.co.jp/products/detail/gtcc_demonstration_plant.html
浜岡原発は無用、中部電力にもコンバインドサイクルあり→http://www.chuden.co.jp/energy/ene_energy/thermal/the_shikumi/index.html
東京都副知事も絶賛→http://sankei.jp.msn.com/region/news/110523/tky11052323070015-n1.htm
【5月27日追記】スイスも脱原発。安全性が高くクリーンで値段の安い「天然ガス発電」に切り替える。これが現実的な話。太陽や風はまだ未来の話にすぎない。→  http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE0E7E2E7868DE0E7E2E7E0E2E3E39494E3E2E2E2?n_cid=DSGGL001
脱原発のドイツも天然ガスに。→http://webronza.asahi.com/global/2011040300001.html