晦庵のざくろ

osamuharada2009-12-04

京都で定宿にしている蹴上の「都ホテル」。シーズン中だからホテル内の奥の山側にある「佳水園」はとれないだろうなと思っていたら、やはり今年は観光客が減ったせいか空いていた。ここが良いのは日本式旅館のようでホテル式なところ(部屋での食事なし)。それに小さいけれど檜の風呂があること。しかし「都ホテル」も外資に乗っ取られ、現在は「ウェスティン都ホテル」とあいなった。朝夕に二度も入った檜風呂だが、外資系になってからは、無垢の檜風呂桶をニスでコーティングしてあって、いっこうに檜の、よい木の香りがしてこないのだ、これには心底ガッカリさせられた(半分金返せという気分)。外資の合理的精神では、メンテナンスが大変だというだけでこうなっちゃう。京都的精神まで乗っ取られてしまったワケですな。 「佳水園」の庭の真っ赤なモミジは見事だったけれど、あれは観賞用につくられた「いろはもみじ」。桜の「染井吉野」と同じことです。派手で一瞬ドキッとはするものの、すぐに見飽きちゃう。歌右衛門が得意にしてた歌舞伎舞踊「紅葉狩」の紅過ぎる書割(かきわり)の色を思い出した。 
昼飯に蕎麦の「晦庵」へいったら、入り口に、大きなザクロの木の葉(写真)が黄色く色づいていた。ぼくにはこれが、今回の紅葉見物中の一番の見ものでした。淡い黄に、ほんの少しの緑が入っていて、黄色好きとしては最高点をあげたい色彩。さらに臙脂色に熟れたザクロの実が艶々しく美しい。これは自然の生んだ完璧な色彩配分だなァと感嘆いたした次第。この下をくぐり抜けて、いつもの定席で鴨南蛮蕎麦を食すことができたので、さらに嬉しかったのであります。
晦庵河道屋→(id:osamuharada:20070530)