古今亭志ん生

osamuharada2009-01-26

菊六君のおッ師匠さん古今亭円菊は、あの古今亭志ん生の最後のお弟子さんでした。1973年に志ん生は亡くなっているので、菊六はまだ生まれてなかったけれど、正しく志ん生の孫弟子ということになっちゃう。考えたらスゴイことだよね。菊六は十代の頃に、円菊師の「付き馬」をラジオで聴いて落語というものに目覚めたというから面白い。この噺は志ん生のオハコでしたよね。吉原遊郭が舞台になっている噺だから、我々世代でさえ知らない大昔のお話。ぼくの場合は歌舞伎や浮世絵をたよりに、おベンキョウして空想していた世界。廓噺(くるわばなし)の一つですね。
ぼくもモノゴコロがついたときから、いっぱしの落語ファンで、やがて昭和の三大名人、志ん生桂文楽三遊亭円生にと、どっぷり浸って心酔し、いつしか気がついたら追っカケをやっておりました。夏目漱石は『三四郎』のなかで、三代目小さんと同じ時代に生きるしあわせ、と喜びを表現しましたが、ヤツガレにとってもこの三名人をナマで聴けたことは至福の時代でありました。  廓噺でくくると、志ん生なら「付き馬」「二階ぞめき」に「五銭の遊び」が最高傑作だと思うな。桂文楽はモチロン「明烏」で、円生なら「居残り佐平治」「文違い」に、「三枚起請」が絶品でしょう! これ以上話すと、ウンチク君みたいで、誰も読んでくれなさそうなのでオシマイ。
上の絵は、宮田重雄の描いた、晩年の古今亭志ん生です。首のかしげ具合や襟の抜き加減など、よく志ん生の感じが出ているよねェ。ウマイなあ。このブログの「日本橋まるたか」にも掲げた、安藤鶴夫本のなかの挿絵原画です。(id:osamuharada:20081208)
昨日発売の、芸術新潮二月号ぼくのコラムでは、宮田重雄の挿絵を大大的にトリあげてみました。さらに2月20日〜3月1日まで「宮田重雄さしゑ展」もやっちゃう計画があります。(この件、また改めて当ブログでお知らせしますね) 半世紀前の、宮田重雄の挿絵原画を大発見したイキサツは、(id:osamuharada:20081129) にあります。