アライグマ症候群

osamuharada2009-01-12

混んだ地下鉄に乗っていたら、車体がガックと揺れたので、吊り革をつかみそうになって気づいた事。  急に足元がフラついたので、吊り革に向って手を伸ばしたところ、丸い輪の部分が眼に入った瞬間、思いがけず輪を避けて上のベルトのほうをつかんでいたのです。すっかり忘れかけていたけれど、コレって五十年も前にさかのぼる我が身についた癖なのでした。輪ッかよりベルトのほうが、ヒトの手垢やバイ菌が少なく清潔ではないか?というワケです。無くて七癖のひとつ。ワレながら懐かしい癖だったなァ。  中学生の頃に、電車のつり革や、公衆電話に、公衆便所のドアノブ、エレベーターボタン、階段やエスカレーターの手すりなど、直接手で触れるコトができなくなって、軽い「不潔恐怖症」に落ちいったことがあったのですよ。別名「アライグマ症候群」。必要以上に何度も石鹸で手を洗っちゃう強迫神経症の一種ですね。電車に乗ったらフンばって、手すりや吊り革には絶対つかまらない。外出時のトイレはなるべくガマンする。ドアノブやエレベーターボタンは、誰か他人が押すのをただひたすら待つといった、これでけっこう大変メンドクサイ症候群なのです。あのままエスカレートしていたら、外出や、人と接することすら困難になって、重度のアライグマになっていたところでした。しかしあの頃、その難病克服ができたのは、いま考えてみると、仲のいい友だちとのコーラ壜の回し飲みや、それに何といっても初恋のファーストキッスの御蔭様だったといえるでしょう。その後、ようやく軽度の症候群からは脱却して、単なるキレイ好きに近づけたのでした。
アライグマ症候群は、遺伝的な、つまり生来の気質に、ストレスが加わって発症する強迫神経症の一種だそうです。この間の、突然おとずれた吊り革アフェアーは、昨今のパンデミックの恐怖などがバックにあるせいかもしれません。(防御マスクやゴーグルは用意してます) 吊り革にはつかまらないクセができていたけれど、銀行のATMや切符自動販売機などが、避けて通れない新たなる敵なのです。バイ菌やウィルスとの戦いは、まだまだ続く…。