ヴァネッサ・ウィリアムス

銀座山野楽器の3階(クラシックとジャズの売り場)へ行こうと思って2階(ポップス)を通ったら、平台にヴァネッサ・ウィリアムス、久々の新作アルバムが宣伝用に沢山飾られていました。例によってグラマラスな彼女の写真のジャケットだったけれど、思わず手にしてレジへ。去年の秋に出ていたのと今月発売の2枚を買ったら、オマケに色っぽいブロマイドまでくれたのでした。いくらなんでも恥ずかしい。そこで、以前から他人にヴァネッサ・ウィリアムスの唄が好きだとはなかなか云えなかったことなどを思い出しました。実は15年位前は隠れブラコン・ファンでもありました。ただし男性歌手はダメで女性専門。いろいろ聴いてみて、声そのものとリズム感でぼくの一押し(誰にも云わないけど)がヴァネッサでした。ワイドレンジの声は低音から気持ちよく、中音へ到るまでの間にも奥行きがあって、高音では明るく澄み渡るといったグラデーションを見せます。声はすきずきですが、ぼくにはこの人の声の質が快い映像になって浮かんでくるのです。新しい方のアルバムはすべて70年代R&Bのスタンダードナンバーばかりです。スタイリスティックスの誰でも知ってる“You Are Everything"のカバーは、あのファルセットヴォイスで聴き慣れた高音部を、ヴァネッサの声ではスムースに自然に伸びてゆくところが本家よりいいかも(ぼくはファルセットだったらマービン・ゲイが一番だしね)。またヴァネッサはチャカ・カーンを幼い頃から目差していたらしく、このアルバムの表題になっている曲“Everlasting Love"これにも完全にまいりました。なかんずくアイズレー・ブラザースのカバーで“Harvest For The World"が最高。「この世の実りはいつ訪れるの」という歌声で気分がスカッとしました。去年出たほうのはクリスマス・アルバムでしたが一曲古いジャズで“Winter Weather"がいい!こういうほんとに歌のウマイ人が、もっとオーソドックスなジャズを歌ってくれるといいよな。この曲はまた、ジャズ歌手でぼくが一番好きなペギー・リーの曲だったので2倍嬉しい。ヴァネッサ・ウィリアムスは映画にも出た(ロクなのは無い)けれど、この10年ブロードウェイのミュージカルで功績をあげたそうで、以前にも増して音域ゆたかに、情感もみずみずしく成長したようです。ただ元黒人初のミス・アメリカだったところから、40過ぎてもイロっぽ過ぎるので恥ずかしくて困るのですね。ともあれ久々に好きないい声を聴くことができました。

エヴァーラスティング・ラヴ

エヴァーラスティング・ラヴ

シルヴァー・アンド・ゴールド

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