竹籠含春

osamuharada2007-02-07

今年は暖冬のせいか、島の椿も咲くのに初めはちょっと戸惑った感じがあって、咲き出すと今度は毎日続々と花を開いています。いつもの二月の寒椿という情緒もないまま、もう春の気分でいるのでしょうか。家の中あちこちに椿を活けるのは冬の楽しみのひとつです。岸田劉生の油彩画で、竹籠に椿の図があり、題して「竹籠含春」(ちくろうがんしゅん、と読むのでしょう)。特に椿を好んでいた劉生の傑作です。確かに冬の椿は冷たい陶磁器の花瓶に挿すよりも、竹を編んだ籠に活けると、どこかに春を予感させるような、柔らかい風情があるから不思議ですね。
野生のヤブツバキは太古の昔から日本に咲いていたから、ぼくの考える縄文的美意識の源でもあります。窓の外にも椿はすでに満開で、メジロが毎日やってきます。艶々とした葉に昼の陽があたって風にそよぐと、自然に眠気を誘うのは、すでに春の季語、春眠といった感じになってますよ。
今年は異常気象のおかげで、たまたま暖かい冬を過ごしていますが、これって良いのか悪いのか判らない。生態系が崩れることを思えば困った問題なんだけれどな、と独りごちながら干し柿を賞味しつつ、また煎茶など飲んでボンヤリしています。