マッキントッシュのアンプ

osamuharada2005-03-26

自由業の良いところは、好きな時に一人部屋にこもって、仕事ができることです(仕事が無い時はただの失業者なりき)。も一つ良い点は、イラスト稼業は目と手しか使わないので、耳が退屈しないように、音楽も好きなだけ聴き放題にできることです。なのでぼくにはオーディオも身についた仕事道具の一部のような感じなのです。35年間いつも音楽付です。どんなジャンルでも(ラップ以外は)聴いていますが、特に昔から好きで、聴くたびに気分は爽快になり、気持ちを前向きに軌道修正できるのがスウィング・ジャズです。ヤル気が起きます。リラックスして生き生きとしてきます。というわけで一昨年仕事場を新しくしたついでに、オーディオも新調しようかなと、スピーカーとアンプをもとめて秋葉原へ。素人に機械の良し悪しなど解かりませんから、ある先輩からの忠告で、オーディオを試聴する際には、必ず自分がこの曲を聴きたくて、それにぴったりのオーディオが必要なんだということで選べと言われていたので、好きなCDを3枚持参しました。ビッグバンドで軽快にスウィングして歌う、フランク・シナトラ、ペギー・リー、それにディーン・マーティンを持って行き、三人三様の“Just in time”という耳タコができている大好きな曲をかけてもらいました。スピーカーは何故かすぐにB&WのSignature 805に決定。しかしアンプにもいろいろな個性があって、クラシックで弦楽器やピアノにはピッタリで素晴らしい音色を奏でるアンプ(英国製や日本製に多い)も、ジャズヴォーカルでは息づかいや迫力が足りず、シナトラでは粋な感じが出ず、ペギー・リーでは健康的なセクシーさが出ず、ディーン・マーティンでは酔っ払ったような気分が出ていません。ラスベガスあたりのでっかいボールルームで、シャンペン片手に生で聴いてるような錯覚におちいりたいわけですから(普通オーディオマニアはクラシックか和製英語でいうモダンジャズしか聴かないし)、こういう音色選びはけっこう難しい。かたっぱしから試聴させてもらって、そして結局は、またアメリカ生まれのMcIntoshMA6900,Integrated Amplifierに落ち着きました。また、というのは、島のアトリエで聴いてるアンプも同じ、かなり昔のマッキントッシュなのでした。どうもぼくにはコイツが一番性にあってるようです。一ことで言うなら陽気で機嫌の良い音色が出ます。ピアノトリオでしっとり歌うジャズ・シンガーよりは、ビッグバンドを従えたキャバレー・シンガー(アメリカではこっちのが格が上)に向いてます。小唄、地唄よりは、常磐津、清元、長唄に合い、マイルス・デイビスより、リー・モーガンの若いトランペットに合い、ビル・エバンスの清澄なピアノより、ジョージ・シアリングのヴァイブとユニゾンでひく小粋なピアノに合っている(ぼくはこういう対比ゴッコを始めると止らない)という音色のアンプなのでした。どうでもいい話でしたが、ちなみにCDプレーヤーは前から愛用のVictor XL-Z999の20bit processingというやつです。写真では色がうまく出ませんでしたが、マッキントッシュは黒地に、四角い2つの窓は海の底のような青で、中心の文字はネオンのような緑です。この色までがまたすごく気に入ってるというので、ほんとにヒトってそれぞれ好きずきなもんですよね。
試聴した“Just in time"という曲が入っている、ぼくの愛聴盤3枚のタイトルは、
Frank Sinatraの“Come dance with me!”(1958年)
Peggy Leeの“Jump for joy”(1958年)
Dean Martinの“This time I'm Swingin'”(1957年)でした。