電車のクマ

osamuharada2012-09-07

墓参で、久しぶりに田園都市線に乗ったら、ドアのところに昔ぼくが描いたクマがいた。おー、まだこんなところで働いていたのか、と懐かしい。コレは30年くらい前からのクマで、東急電鉄からの依頼でした。子供がドアの戸袋で手を挟まれないように、と注意をうながすのが仕事のクマ。
当時は、ぼくの娘がちょうど小学生で、地下鉄日比谷線東横線田園都市線と乗り継いで通学していたから、毎日どの線でもこのクマに見守られて乗り降りをしていたわけです。長い長い道中の「お守り札」みたいなもんでした。
このクマは描きおろしというわけでなく、40年ほど前に描いていた日立ルームエアコンの広告用キャラクター「シロクマ君」の、そのまた使い回しなのでした。もともとは白熊だったものに色を着けたのは、東急エージェンシーのデザイナーのかたで、ぼくのせいではありません。公共のキャラクターというものは、多くの人の思いが加わって、できあがるものなのです。なので原画はいつもモノクロで描いて渡し、着色はだいたい他人まかせ。様々な意見を調整して決めてもらいます。みんなに好かれるためには良い方法だと思います。ぼくのほうの仕事も楽だしね。
それにしても、考えたらずいぶん長い間よく働いてくれるクマですね。こないだ見た時には、懐かしさと同時に、怠けものの作者としては、働き者のクマになんだか申しわけないような気持ちになってきた。つい「ゴクローサン!」と声かけながら、写真に撮っておきました。