枇杷の季節

osamuharada2007-06-04

島の人たちはもともと半自給自足が多いので、自宅用に栽培した季節の野菜や果物が食べきれないと持ち寄っては小さな市場を経営している。地鶏の卵、植木や切花もある。それを商売にしている家はひとつもない(なのでとても安い)。島民同士で美味しいものを作って皆で食べましょう!という共生的な心意気がある。最近はルッコラやエシャロット、エンダイブまで出る。トマト玉ねぎ胡瓜などは実に旨い。果物類もそれぞれの季節がやってくるとタップリと棚に並ぶ。300家くらいが自主参加していて、その日の朝に土を掘り摘んでは持ち寄ってくる。現在流行お洒落なロハスや、癒し系暮らし趣味とは違って、ごくマジメな感じがするのは、代々離島で暮らす人々の切実で自然な生活感覚のせいでしょう。自分達で食べる物にいちいちオーガニックとうたう必要だって無い。島の外から船便を使う物流では何でも物価高になるということもある。ぼくはここを食料調達所にしていて、今やすっかりオナジミさん。いつも大きな籐で編んだ籠を持参して、それをいっぱいにするとちょうど2、3日分。季節に合った旬のものだけの市場です。そして今、果物では何といっても枇杷が旨い季節ですね。東京の高級果物店やデパ地下の、見た目は無傷で美しく皮はすぐ剥けて種はすぐ外れるのとは違い、天然に近い島の枇杷は傷だらけのうえに無骨で食べにくい。しかしこれを口に入れるや、甘味と酸味、枇杷独特の風味すべてが濃厚で感動的に旨い。これやこの本然の枇杷の味覚。東京では枇杷に染付けの皿が一番合うと思っていたけれど、島の野生的な枇杷にはどうも似合わないので、熟慮の末、スペインはバレンシア陶器に盛ることに決定したのであります。勝手にしろといわれるだけの、またどうでもいい話でした。
バレンシア陶器は[id:osamuharada:20051228]