倭人とポインセチア

osamuharada2011-12-19

冬休み。避寒と倭人伝フィールドワークをかねて、また沖縄に来ています。本土では雪が降るところがあるというのに、こちらではコートを着る必要もない。昨日は汗ばむくらいの晴天だったので、南部の「干潟」を見て歩き、倭人伝のライフスタイルを想像しながら考察した。目の前の穏やかな干潟や、珊瑚礁の海で収穫する豊富な魚貝類が、倭人の食糧源であり、真珠も特産品であったのは、倭人伝に書いてあるとおり。稲作農耕の弥生人の暮らしぶりとは別のものだった。「邪馬台国群の倭人」とは、言うなれば「海洋系縄文人」である、と自説に確信を持つことができた。歩いて見てみるもんですね。
この季節、陸側のほうに目をやると、あちこちの家々の庭先で、異様に赤い花の咲く木がある。ウチナーンチュの友人に聞くまでは、あれがクリスマスのポインセチアと同じものだとは気がつかなかった。都会で見る鉢植えと違って、沖縄では、人の背丈より高い木に成長している。赤い花びらは、花ではなく苞という、紫陽花の萼片のようなものらしい。メキシコや中南米が原産の低木で、戦後アメリカから始まってクリスマス用に流行りだした。冬になると色づく赤色の星形と、緑色の葉というところが、クリスマスに利用されているだけのことらしい。そもそもキリストの誕生日には、ぜんぜん関係がないんだな。
沖縄では、巨大なるポインセチア(実はこれがほんとの姿)が、どこにでもフツーにあるかと思えば、盆栽展覧会のようなところでは、ミニチュアの「ブーゲンビリアの盆栽」があるのにも驚いた。こっちは、異様に縮小したピンクの花が木に満開だ。熱帯ジャングルのガジュマルの盆栽だってちゃんとある。大樹の風格ありと賞賛されていたが、なんだか現代倭人の園芸趣味のほうは、ちょっとヘンである。